本の雑誌2011年7月号 (No.337)
本の雑誌 7月号 (No.337) / 本の雑誌社 / 648円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし
特集は「私小説が読みたい!」。杉作J太郎、壹岐真也、大竹聡の見事なまでのダメっぷりを連続して読むともうぐったり。私も大した人間ではありませんが、こうまでひどいと...。しかもケータイやカード類がフツーに出てきて現代であることが強調されるのでまた驚きます。『赤目四十八瀧心中未遂』を読んだ時も同様の感想を持ったので私小説は合わないのかもな。改めて読む岡崎武志と萩原魚雷の対談にもピンときません。嵐山光三郎はもちろん島崎藤村批判。読者アンケートのこの人の私小説が読みたいは意外に良い企画でした。
大井潤太郎の書店員エッセイには、いつもやり場のない怒りや同情を感じますが、かと言って特効薬があるわけでなく何か出来ることがあるわけでなく、読者としても考え込むだけですが、今月の国会図書館長の言葉は、ひどい。一部の引用だけですが、これマジで言っているとしたら本当に終わっています。本屋は国会図書館の端末になればいい、ですからねぇ。
おじさん三人組の一箱古本市では「本の雑誌」のバックナンバーが出ていたようで! うーむ、行きたかった。
宮田珠己は鈴木理生の紹介。真面目な紹介になっているのですがこれ、実はトンデモ本なのでしょうか。江戸の造成や性の秘密が大胆な仮説と細かく丁寧な考証で語られるそうです。
入江敦彦の「ベストセラー温故知新」は『日本沈没』。小松左京の冴えた洞察力や日本人論にとても驚かされたのと同時に、外れた予言に対して、今さらながらがっかり。どんなに外国人がマナーを褒めようと、その底に流れる依存体質や、こっそり水や食料を買い占めるイヤラシさなど、解決できない問題は山積みですね。
藤田香織は角田光代の作家ガイド。10冊と言いながらしっかり初心者向けと上級者向けを紹介する所に、好きの本気度を見ました。
他に『ラブオールプレイ』など。